「まくびーくん行ってきます!」
「いいなあ。ぼくも自転車でお出かけがしたいよ!」
ゆりこおねえさんが自転車に乗って出かけようとしていたところで、引き止めてしまった。
「自転車に乗るためにはコツが必要で、ちょっと難しいのよ。練習しましょうか!」
「がんばるぞ!」
ゆりこおねえさんが練習に付き合ってくれることになったよ。
運動オンチって聞いてたし、よくコケてるけど、ゆりこおねえさん大丈夫かな?
「さて、特訓するわよ! ちょっと見ててね」
ゆりこおねえさんがスッと走り出してお手本を見せてくれた。いつもは特に全然何とも思わないけど、ゆりこおねえさんがこのときはカッコよく見えた。
「いいないいな! どう乗ればいいか教えて!」
憧れの自転車に乗れるなんて嬉しいな。
「まずは、またがって、このサドルに座ってペダルに足をかけて強く踏み出すの。その次にバランスをとりながらペダルを漕いでいくんだけど、まずはまたがってみましょう」
いよいよぼくの出番だ!
ゆりこおねえさんみたいにやってみよう。
「あれ??」
「脚が届かないよ……」
「諦めないで!」
諦めずにチャレンジしてみたけどやっぱり出来ないよ…
今、ぼくを見て笑われた気がする…
自転車って選ばれた人しか乗っちゃいけない乗り物だったのかな…
ぼくの脚が短いからなのか、自転車が大きいからなのか…
罪は無いのに自転車をじっと見つめてしまったよ。
「私のサイズに合わせて買った自転車だから、まくびーくんが乗れなかったのかもしれないわ。それに、もっと練習が必要だから仕方ないわよ」
「難しいんだねえ…」
ゆりこおねえさんが励ましてくれたけれど、人間しか乗っちゃいけない気がするよ。
「自転車に乗らなくても散歩はできるじゃない。行きましょ!」
自転車を押しながら坂道を登る。
よいしょ、よいしょ。坂道しんどいな。
もし自転車に乗れたら、かっこよく立ち乗りなんかしちゃったりするのに!
疲れたから坂道の途中で一休み。
「自転車で走っているとスピードが出るから風で涼しいのに残念ね!」
「そうなんだね…」
ぼくが落ち込んでるっていうのに、ゆりこおねえさんが今のぼくには必要ない情報を教えてくれたみたい。
はあ……ため息。
まだ気持ちを引きずりながらも、しばらく歩いていると鳥居が見えてきたよ。
「わあ!神社だ! 寄ってもいい?」
「うん、行きましょう!!」
「神社に入るときは礼をしてから入るのよ」
「これならぼくでもできるもん!」
ふと見ると、公園がある! 思わず駆け出しちゃったよ。
「ベンチで待ってるから、遊んでてもいいわよ」
まずはブランコに立って……
立てなかったけど……
今度は座って……
座れなかったけど……
「おかしいなあ」
周りを見渡したら鳩がいた!
だけど、近づいたら逃げられちゃった。ガッカリしていたら、ゆりこおねえさんが鳩について教えてくれたよ。
「追いかけると怖がって逃げられちゃうわよ。鳩は平和の象徴とされていてね、都会でもこうやってたくさん見られるのよ。ちなみに私は鳩の目が怖くてちょっと苦手なのよ」
「ぼくはかわいくて好きだけどなあ」
今度鳩がいたら、そっとしておこう。
今度はあっちに大きな石発見!!だんだん楽しくなってきたよ!
一人でかくれんぼ……
最後にはお参りをしようと階段を登ろうとしたけど……(以下略)
お参りはできなかったけど、いっぱい遊べて大満足。
さあ帰ろう!
「ずーーーーんと落ち込んでた気持ちが吹き飛んじゃった!」
「それはよかったわ! ずっと走り回ってたものね。またどこかに行きましょうね!」
「うん、行こうね!! あーーーーっ!」
「どうしたの!?」
「自転車を神社に忘れてきちゃったよ!」
「まくびーくんったら、もうドジね!」
ゆりこおねえさんが慌てて引き返して取りに行ってくれた。
ぼくってば、まだ落ち込んでたのかもしれないなあ。ゆりこおねえさんも忘れたことに気づいてなかったけどね…
しばらくは自転車に乗ってる人を見たら追いかけたくなっちゃうかもしれないけど、きっともう大丈夫!
お散歩ってやっぱりいいな。
次はどんな場所にお出かけしようかな!
■まくさんぽシリーズ一覧
第1回「着ぐるみ工場を見学しよう!」>>
第2回「下北沢で舞台を観よう!」>>
第3回「自転車に乗ってでかけよう!」>>